文字通り、錬金術について研究するところ、です。錬金術は、古来よりの知識ながら、その応用範囲はこの世界すべてに広がりその裾野は自然界の末枝に至るまで非常に幅広い、です。この世のすべてを解き明かした科学、それらは遥か昔より存在するものです

それを素材にするには、ということですが今日は材料と素材、それから素材を如何にして抽出するのか、というお話です。まず、素材と材料の違い、それからそれぞれの定義をしなければいけませんが、素材とは工作や調合など、組み合わせ可能な状態、及びその状態のもの、材料とは調合用などの素材一歩手前の、自然や栽培状態から採れて不要な部分や有害な部分を取り除き、一次加工を施したもの、及び様々なもの・形に加工可能な状態の自然のものを指します。なお、自然素材、加工材料、のような言葉もありますが、自然素材のほうは自然にある状態で、そのまま生食など加工可能なもの、あるいは天然素材などの場合もそうで、自然の状態で加工可能なものを指しています。一方、加工材料は木材製品の完成品や3次加工品などある程度の加工品を組み合わせて作るものの加工途中のもの、つまりいわば二次加工されたものを特に加工材料と呼ぶことができるので、加工可能な材料、と思ってもらえればいいかと思います。素材と材料の違いは、他のものに転換利用可能な状態か、その素材にする前の材料なのか、というところに大きな違いがありますが、結局のところ大まかに言ってしまえば材料は小麦粉で素材はちょっといい国産の小麦粉、といったところでしょう。ちょっと曖昧な別かもしれませんが、ものとして加工可能な状態のものを素材、それ以前の簡単な加工処理や一次加工を済ませたものが材料、なので(例えば牛肉、が材料なら国産霜降り和牛肉、は素材といったところです)上記二つの例えからすると、あるものを作るための組み合わせの素材として必要な情報あるいは意味合いを含んでいるか、という点で、例えば内麦のパンを作りたければ国産の小麦であることはほぼ絶対条件ですし、高級ステーキ店で霜降り和牛のメニューで出したければ国産の和牛であることは絶対条件ですし霜降りであることは十分条件、となるわけです。要は、組み合わせとしての必要な情報あるいは意味合いが含まれているか、という点が素材と材料の違い、であり素材は組み合わせのための情報が人間あるいは作業者によって付加された状態であり、材料は採ってきた自然ないし天然のものに簡単な加工あるいは一次加工を加え取り敢えずは加工可能な状態にしたもの、を材料と呼ぶのです。穀物や肉で分かりにくいなら魚でついでに説明を書き加えておくことにしますが、採ってきた、あるいは開いて内臓などを出して加工可能な状態にしたものを材料を呼ぶのであって、丸一日か二日天日干しにしたものは干物であり素材、です。もちろん、ただ獲れたての物を開いて焼いて食べるのならそれは素材ともとれるかもしれませんが、むしろそのままでは材料で、例えば獲れたての魚の開き、であれば素材になり得ます。まぁ、要は素材としての意味合いがあるかどうかが材料との大きな違いなのであって、例えばハーブティーを調合するから、といってただそこら辺か農園に生えていたものを採ってきて、じゃぁこれが素材か、といえるかというとそうではなくて、やはりそうやって採ってきたものは材料でそれを多少選別するか洗うか乾燥させるかなどして、ある程度使用可能な状態に加工したものを素材というのです。まぁ、言いましたが人間によって意味合いが付与されているかどうかが素材と材料の違いであって、一見それらは言葉の定義上や運用上はほとんどなんら違いがないように思えても、実はモノを選別して加工する、あるいは他のものに作り変える、という場合には結構大きな違いをもたらしてくる、のです。なぜかというと、実は採ってきたままのものを材料にするのにはいわゆる四大元素的変換はなにもなされていないわけですが、材料を素材にする段階では、もちろん加工上の意味もありますが人間による意味合いが変わる、ということはすなわちそれ自体の性質、あるいはそれによる役割が変化する、ということであってこれが何を指しているか、というと多少の加工や手間などでその素材の四大元素的属性が変化しているのです。例えば日干しすれば風の属性が取れるか火の属性が加わるかしますし、ただ乾燥させれば水の属性が取れて風の属性が加わります。よく洗って乾燥させれば、水の属性が加わって火の属性が取れることもありますし、燻せば水の属性が取れて風(風味料)と火(燻製材料・油分)の属性が加わり、火を通せば風、あるいは水が取れて火の属性が加わります。要は、材料を加工して素材にする段階で、人間による意図的な操作が入るため(あるいはその意図的、というのは加工を目的に素材の四大元素的属性を変化させること、でもある)結局のところ人間が材料を素材に加工する、ということは四大元素的変化をもたらすものだ、ということもいうことができます。ハーブティーや薬を調合する場合でも、材料のままでは不純物も多いですしそのままではできませんが、洗ったり余計な部分を取り除いたり乾燥させたりしてやっとこさ調合可能な状態になるので、そういう意味では人間がモノを材料から使える段階の素材にする、という点においては非常に重要な意味を持っている、ともいえます。まぁ、もちろんこの材料からある程度手間や変化を加えて素材にする、という作業そのものは、人間の加工技術、あるいは知識が集積されて時代が進行しないとなかなか成熟してこないもの、なのですがそれでもほぼ初期段階の文明でもちょくちょくそれは出来ていた、ということは容易に推測、できると思います。あえていえば、初期段階と中葉段階の文明を分けていたのはむしろその点で、材料をそのまま加工するプロセスよりも一度素材にしてから(半製品・中間材料ともいえますが)それらを集積・分散するなどして各生産施設に配分したほうが、より効率的に、しかも一度に大量にそのラインで加工できることになります。これは産業革命の原形ともいえるものでもあり、素材にするということが材料(原料)の集積・分散という点で生産の効率化に非常に大きな役を買っていることは着目すべき、ことだと思います。単一のラインで(シリアル)加工していたのでは当然加工速度に変化をもたらすことができませんから、当然どうやっても生産のスピードに手を加えることはできないのですが、複数の材料を調達、あるいは加工する機関があるのを前提として、そのある一定の生産施設で原料としての材料を集積・分散することで複数の生産加工設備に分配、要は抱えることが可能になるわけなのですから、当然全体の生産速度は3倍、4倍にも膨れ上がるわけです。まぁ、要は素材というひとつの意味合いを持った“加工しやすい”状態にすることで当然その生産ライン全体、としては非常に扱いやすくなるので、そういう意味では材料を、素材にする(加工する)といった作業は人間の生産活動には、必須のものである、ということはよくお分かりいただけたと思います。生産のために材料を加工して素材にする、それからさらにそれに加工を重ねていって二次・三次加工品にするといった一連の作業を産業と呼ぶので、そういう意味でも人間にとって材料を素材にする、素材という概念が如何に重要であるかは、よくお分かりいただけたか、と思います。最後に、もし人間が「素材」という概念を産業にもたらなさかったら、という点について考えてみようかと思いますが、これは、一論で言ってしまえば形のない生産と同じで、初期の頃の原始人となんら変わりない、ということになってしまいます。言っておいてなんですが、そもそも生産というのは、言ったように材料を素材にして、それらをさらに加工して二次・三次的に使えるモノにする、というプロセスのことをいうのであって、そもそも材料をそのまま使うようではただ大釜で材料を放り込んで混ぜるだけ、という原始人なのか原始宗教なのかよく区別のつかないものの代物、になってしまいます。まぁ要は、生産に必要なものをあらかじめ一次加工しておくから、その後の生産もしその後の加工もしやすくなる、というもので結局のところ、材料を素材に変える、というのは人間の生産、ひいては人類の発展には必須プロセスだった、ということも言うことができると思います。ちなみに、有名な某錬金術ゲームで、古式の錬金術といって材料を全て釜に放り込んで混ぜるだけで、完成、というちょっとぶっ飛んだ表現をしているものもあるのですが、あれは一種のゲームの表現上で、材料をそれなりに加工して扱いやすい状態にしてから調合する、というプロセスが隠れていますし、実際そのゲームでも調合に必要なものをある程度素材として加工して揃えておくと、上手く調合できる、という面もあるのです。まぁ、一種のゲーム上表現なんてどうでもいいですが、とにかく人間の生産には材料を素材に加工してから使う、という概念が絶対必要条件、でありこれがないと生産が成り立たない、ともいえてしまうのが素材、という概念、なのです。(自ブログより転載:転載元「アトリエ」/リンク集より)

追記(交易品大全wiki、同稿タイトルより転載)
材料と素材の違いは一見些細な違いのようにも見えますが、細かくモノの製造・生産の過程を観ていけば、多分に違います。錬金術でもそうですが、材料の素材としての分析、あるいはそれらの組み合わせの考察をサボってしまえば、ほぼ何も生まれないのと同じで人間の創造物・生産物というのは十中八九錬金術など、「組み合わせと生成の科学」を元にしています。まぁ、元々はといえば物に関して神を関係させて考察したのが中世では錬金術がルーツだともいえる面ももちろん、あるのですがそれ以上に現に知られている古代文明よりもさらに昔の超古代文明においても、おそらくは錬金術のようなものがモノの発明や開発に一役買っていた、のではないかということは容易に想像がつきます。一説には、現存する錬金術は中世ヨーロッパの人間が古代ギリシャやエジプトから引き継いだもので、さらにその向こうを辿るとアトランティスなど超古代文明から伝えられたものである、という話もあります。いずれの場合においても、物と物質の発生、あるいは変換について科学した、ということは人間自ら神の領域に近づく、ということでもありますから、超古代文明から伝えられたものであるにしろ、どちらにしろそれらは人間の文明特に科学において非常に重要な役割、を果たしてきたことには間違い、ありません。また、錬金術とは宗教と科学、あるいは神(意識)と物質が融和したもの、でもあるのでそれらが物の発明など重要なファクトに絡んできたことには、間違いはありません。一見すると、細かい「材料」と「素材」、の違いでも宗教や物質世界、など大きな概念を持ち出せばこれだけダイナミックな違いになってくる、ということはそれぞれが物質的に非常にリアルな存在でもある、ということも裏付けられた、と思います。まぁ、これらはどうでもいいのですが物に関して言えば、何がバックボーンになっているのか、というのは非常に重要な話で、材料と素材の違いから、でもこれだけ物質的に違いが見い出せる、のですからこの物質世界が如何に緻密に作られているのか、がよく容易に理解できることだ、と思います。また、ちなみにですがこれらは神の存在を証明するもの、というよりはむしろ物質世界がいかに物質に対して忠実であるか、との証だとも思っているので、人間にとっては神は心、意識上の存在であって物質的なものは物質世界に忠実なのだ、と改めて思い知らされる事象のひとつ、でもあります。こう見ると、まずは物ありき、とも言いたくなるかもしれませんが、実際の世界はまずは意識ありき、そして意識とは何かを問い直せば言葉ありき、の世界なのでそういう意味では物の原初を問い糺すといくらでも追求できてしまうわけで、正直こういった世界にはきりがない、ということも言えるでしょうね。ちなみに、これらの答えははっきりしていて、神は心、意識上の存在でこの世界では意識が全て、だといえることは分かっているので(空、を参照)、ものついて、考えるのならまずは、物質とは何か、というところとそれから人間としての生産、ですね、材料と素材、の違いもその一つですがそれらの違いを解き明かすことによって、人間の本質が今一度見直されればな、と願う次第です。

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